hana-ii.gif(433 byte) Home > Note >自由について

自由について

受講コースの中で【自由について】を発表する機会がありました。その時に書いた詩をご紹介します。


自由について

ただ息をしているだけで 毎瞬世界が生まれ変わる

ただ息をしているだけで 毎瞬奇跡が起こってゆく

ただ息をしているだけで 私は世界の一部

ただ息をしているだけで 私は宇宙


私は大きく息を吸って、最初の言葉をさがす。

世界はかたずをのんで 私の声に耳を傾ける

でも部屋の中には誰もいない ただ通りを走る車の音が聞こえてくるだけ

ただ一言の言葉が 私の幸福を変えてゆく

ただ一言の言葉 まだ口の葉にも登っていない


声に未だならない言葉 

私は歌い始めのブレスのように 大きく息を吸い込んでいる

胸に広がる高揚感と静かな重圧と

肉体をまとってここにある自分がかすかにおののいている


何も声にしないまま 長い息を吐く

力んでいた肩もほぐれ 緊張から解放された私は思わずそっと目を閉じる

何事もなかったように 外からは車の音が聞こえてくる


ただ息をしているだけ 世界は変わらず美しい

ただ息をしているだけ 世界は変わらず私に微笑みかける

ただ息をしているだけ 私が瞬間垣間見たあの世界

ただ息をしているだけ 私は宇宙と共にある


   *   *   *


誰からも必要とされず、誰の記憶にも残らず、風のようにただありたい、それが自由と思っていた私。

自由についての物語が語れない悲しみを、風になって何も選択しない時の世界の素晴らしさと毎瞬生成される奇跡の連続に心を打たれてしまうこと、こんなにも自由と可能性がたくさんある中から何かを選ぶことの重圧と果てしなく大きな責任とに押しつぶされそうになっている私についてお話しさせていただきました。

自由を恐れている自分も選択することを恐れている自分も、いつか訪れるかもしれない選択できた未来の自分も選択できなかった未来の自分も今と未来との全ての可能性をありのまま受け入れて肯定してゆけたら、そう願っている自分がいることを語るのがその時は精一杯でした。


なみさんの感じていることは詩の形式のほうが表現しやすいのかもしれない、そうアドバイスをいただいて、詩人のペルソナをかぶってみることにしました。

毎瞬生成される世界を感じるときに、詩人の自分はどう思うのか、ドキュメンタリーのように体感しながら、生まれてくる言葉を綴ってみました。


世界が生成されるさまは本当に素晴らしく、眺めている私自身も世界の一部として変化してゆきます。もう一生眺めているだけでもいいかも。。でもせっかく肉体があるのだし世界とより深くかかわってみよう、と何を言うのかわからないまま、息を吸い込んでみました。その瞬間、世界の生成の質が一瞬で変化してゆきます。まだ何も言っていないのに。。言葉にならない言葉をゆっくりと吐き出してゆきました。一瞬の緊張から解放されて、肩の荷が一つ降りた気分です。

何かを言おうとして言えなかった。吸って、止めて、吐いて。そんなシンプルな動作なのに、この美しい世界にかかわりたい、言葉を発したい。そう願ったことで、世界が確かに変化していったことを感じることが出来ました。


自由を恐れて、自由に伴う責任を恐れて、何も選択できずにいると思っていた自分は、既に世界と関わっていた。世界の一部としてその豊かさをより体現する創造的な存在として既に存在していた。あまりにも大きな恐れを抱えて込んでいて、自分自身を先入観でしか判断できなくなっていた私。今まではこう思っていた。こう思うことが正しいはず、様々な先入観を取り去って、今の私が何を思い、何を感じているのかをみつめてゆけたら。

先入観なく自分自身を感じる、見つめる、愛おしむ。そんな時間を時折でも持つことが、今自分にできる自由を育んでゆく一つの方法なのかもしれないと思いました。

ご案内更新:2013年4月12日